
昨日の記事で、『久々に文庫本を並べてみた』というお話をさせてもらいましたが、今日はその中から休日におすすめの一冊をご紹介させて頂きます。
読書はそこまでする方ではないのですが、好きです。
特に秋になると無性にしたくなりますね。ベタですが、、
おそらく本そのものが好きというより、部屋でのリラックスタイムに『読書』という選択肢が増える贅沢感が好きなのかもしれません。
作家でいえば村上春樹さんが好きです。
ただぼくが好きなのは彼のエッセイで、小説は読んだことがありません(正直にいうと高校のとき『ノルウェイの森』の上巻だけ数ページみましたが)。
かわりにエッセイはほぼ全て読んでいるという、一風変わったハルキストなんです(笑)。怒られちゃうかもしれませんね、、
村上さんのエッセイが好きな理由はいろいろあるんですが、読んでてリラックスできるところ。
今日みたいな秋晴れの休日の午後に読むと最高です。
こんな日に読む一冊、でぱっと思い浮かんだのはこちら。
『ランゲルハンス島の午後』
全部で100Pくらい。見開き2ページのエッセイが25編掲載されてます。
音楽アルバムを1枚聴くように、30分くらいで全部読めちゃうライトさ。
安西水丸さんの挿絵もおしゃれで、ゆるくて、素敵です。
たとえば第1編のこんな文章。
町で本を読みたいと思ったときは、なんといっても午後のレストランがいちばんだ。静かで、明るくて、すいていて、椅子の座り心地が良い店をひとつ確保しておく。ワインと軽い前菜だけでも嫌な顔をしない親切な店が良い。街に出て時間が余ったら書店で本を一冊買い、その店に入ってちびちびと白いワインを舐めながらページを繰る。こういうのってすごく贅沢で気分の良いものである。
村上さんの、『ささやかな幸せ』の描写が好きなんです。
あとこの本には出てこないですが『よく冷えたサミュエル・アダムズ』ってフレーズもよく見る気がしませんか? あれみるたびにビール飲みたくなっちゃうんですよね(笑)
ぼくが特に好きなのが第20編の『葡萄』。
台風が通り過ぎてしまったあとの空は抜けるように青く、いたるところにちらばった水たまりに白い雲の姿がくっきりと映っている。葡萄を専門に扱っている問屋のような店の前をとおりかかると、若々しく甘酸っぱい葡萄の香りが漂ってくる。その店で僕は葡萄を一袋買って、フィリップ・K・ディックの小説を読みながらそれを一粒残さず食べてしまったのだ。
村上さんの描く、こんな『心地よい午後の描写』も大好き。
シンプルだけどその場の空気感が伝わってきます。
ちなみにこの話、この後ささやかなオチがつくのですが、それは実際にご覧頂ければ。
とにかく堅苦しいことなしの、お部屋でリラックスして読める一冊のご紹介でした。
それでは今日はこの辺で。ありがとうございました。
SHINPEI